株価変動に理由なし

株価変動の原因は?企業業績?政治・経済?あるいは金利?答えはどれでもありません。株価が動くのは、他人が偶然にある値段で株式を売買するからです。

多くの人は株価変動の原因を論じるのが好きです。「昨日の株価上昇はGDPの伸びが予想以上だったからだ」、「おとといの株価下落は円高のせいだ」。もちろん、倒産企業の株価が1円となるように、変動原因がはっきり特定できるケースもあります。しかし、そうでないのが普通です。

この悪癖は、人間の優れた視覚能力の副作用です。

人間は進化する上で、自分が見た像からパターンを抽出する能力を身につけました。この能力がなければ、赤子は自分の親の顔を識別できず、愛情を得るのに苦労したでしょう。しかし、この優れた能力は時に悪い結果をもたらします。

  • カメラの光がたまたま障害物に反射し、人の模様が写真に移る。これを心霊写真と騒ぐ
  • 神話や民間伝承を調べると、人は月にさまざまなイメージを見ていることがわかる。布を織る女性、月桂樹の林、崖から飛び降りる象、背中にかごを背負った少女など
  • アポロの月面着陸のとき、アマチュア天文家が「宇宙人が作ったアラビア文字がある!」と騒いでいました。しかし、月表面の写真を1万枚とれば、たまたまアラビア文字が写っている写真が1~2枚はあるはずです。アマチュア天文家は、たまたまアラビア文字が写っている写真を見て騒いでいただけです。
  • 夜空にランダムに分布している星から○×座を見つけて、神話を創る。

全く同じことが株価推移にも言えます。不規則で有意な意味のない株価の推移に人間は意味を見いだそうとする。たとえば、テクニカル信者が「過去の株価の推移に□△のパターンがある」と言う。経済学徒が「先月の株価下落は円高のせいだ」と言う。

(追記)

株価変動の原因は、調査・検証がほとんど不可能です。そのため、変動原因の解釈がいかようにでも可能です。

一方、変動原因が容易に分かることもあります。たとえば、倒産すれば株価は1円になるし、予期しない業績の大幅上方修正で株価上昇が起こることもあります。

これらの

  • デマが流行りやすい状況
  • ごく稀に企業ニュースと株価変動が強く相関することがある

より、多くの投資家はニュースと株価変動が強く相関すると勘違いをします。そして、事業評価ではなく、日々のニュースを注視します。

以上と上述の悪癖も加わり、投資家が変動原因をニュース等と勘違いし、変動原因に異常な注意を払う傾向が生まれます。

2012年1月3日

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