金融工学は大学での研究が盛んな一方、投資実務家の大半は「机上の空論」と考えています。この件について、私は次の通り考えています。「金融工学は机上の空論で、三流学者が職を得るために作り出したに過ぎない。また、金融工学が提唱するモデルは、他の社会科学が提唱するインチキモデルと同じ特徴を有する」。
様々な学問が提唱する理論やモデルには役に立つもの、そうでないものあります。たとえば、気象モデルや熱力学の法則は大変有益です。しかし、金融工学や経済学が提唱するモデルは無益(というか有害)です。
役に立つモデルにはどのような特徴があり、そうでないモデルにはどのような特徴があるか?なぜ、気象モデルの改良は継続的に成功するのに、改良に失敗し続けるモデルがあるのはなぜか?
後述しますが、この根本原因の一つとして、(研究費の多寡以前に)モデル化を試みる事象の特徴が大きく関わっています。そこを理解すれば、(経済学部出身者や金融工学専攻者のように)インチキモデルに洗脳されることはなくなります。
役に立つモデルの例として、まず気象モデルを取り上げます。
気象モデルが役に立つことは明らかでしょう。気象予報の精度は年々向上しています。精度向上から、モデル改良が成功していることも明らかと思います。
気象モデルの改良が簡単なのは、天候に影響を及ぼす要因が限られているからです(せいぜい「熱力学の法則」と「地形」ぐらい。よく知らないけど)。このようにパラメータが2〜3つのように限られると、そのパラメータの精度向上が、モデルの精度向上に直結します。たとえば、より詳細な地形データを採用することで精度が向上する。
しかし、モデル化を試みる事象について、それを特徴付けるパラメータが多数ある際、モデル化は失敗します。たとえば、パラメータ100個の事象について、モデル化を考えて下さい。この際、モデルの構造を単純にするため、次の手段を取らざるをえません。
- 事象を特徴付けるパラメータのごく一部を抜き出してモデル化する。
- 事象を特徴付ける複数のパラメータに共通に関連する(と勝手に仮定した)要因でモデル化する。
- 1と2の組み合わせとか
上記の手段で作成したモデルが言及できることは、事象の
因果関係ではなく、大雑把な相関関係に止まります。あるいは、パラメータ100個の事象について、上記手段で2〜3のパラメータで作ったモデルなど、
ほとんど何も述べていないに等しくなります。上記手順でモデル作成せざるをえない以上、改良不可能も明らかでしょう。
役に立たないモデルには、金融工学のモデル以外にも様々あります。
たとえば、経済学者が人口モデルを持ち出して、経済予測を外しますが、経済に影響を与えるのは人口だけでありません。しかし、人口モデルだと人口分布しか考慮しないため、精度の高い経済予測はできないわけです。経済に影響を与えるパラメータのごく一部を抜き出したモデルのため、大した予測ができないわけです。
あるいは、従来の人間モデルで、ジャマイカのボルト選手の世界記録が説明できないのも同様です。人間をモデル化しようとすると、考慮すべきパラメータが多過ぎ、モデル化がそもそも難しいわけです。
話が変わりますが、ベンチャーキャピタルでは、新人キャピタリストでも一定の成果が出せるように、投資先検討についてチェックリストを設けているそうです。すなわち、キャッシュフローはどうか?競合他社はどうか?これらは投資先の価格付けについて、重要な意味を持つでしょう。投資銀行などでも同様かもしれません。
しかし、金融工学のモデルだとこのチェックリストの項目群を確率変数という1パラメータで表現するわけです(詳細は不明ですが、だいたいこんな感じと思います)。これだと、ほとんど何も言っていないに等しいです。だから、実務家から見ると、机上の空論となるわけと思います。
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2009/6/20
というより、(不確定な)パラメータが多数ある際は、それらをまとめて"確率変数"として表現しないとモデルが構築できない、と言ったほうがよいかもしれません。しかし、モデルの精度を高めるためには、確率変数としてまとめたパラメータを少しでも確率変数の外に出すことが必要です。ただ、定量的なアプローチではこれは無理です。
そもそも金融商品の価格を定量化して表そうとするアプローチが間違っていると思います。欧米の経営学が採用するような定性的なフレームワークで説明を試みたほうがはるかにマシだと思います。今の金融工学のモデルとかは、様々な不確定要因を2〜3の確率変数にまとめているだけです(っていう感じだと思いますが)。有用性はありません。
所詮、金融工学のモデルなんて非常に精度が悪く、全く使い物にはならないです(モデルの改良も不可能)。しかし、何千何万もの金融商品のリスクを比較しようと思ったら、何らかの定量的な基準が必要で、そのためにあるだけだと思います。
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「三流学者のバカげた理論より、新人キャピタリスト用のチェックリストのほうがよっぽど役に立つ」となるわけです。
あるいは、投資理論で有名な割引配当モデルも同じです。株価変動原因には様々あるのに、「予想利益の変化」、「金利」、「リスクプレミアム」(だっけ?)の3パラメータのみで表現します。こんなアホなモデルは、ほとんど何も言っていないのと同じです。というか、宗教論みたいなもんです。
残念なことに、ファンドマネージャとかにもこのような宗教論に洗脳されている人が多数いることです。また、これら宗教論を投資に応用しようとする人もいますが、真に嘆かわしいです。