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 ■ 機械的な投資と普通の投資
機械的株式投資法
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スイッチングコスト

2002/12/29

 自社の製品・サービスの買手に大きなスイッチングコスト(乗換えコスト)がかかるような事業を営んでいる会社は投資対象として魅力的である。たとえば、流通系カード会社(C社)とデパート会社(D社)の関係を考えてみよう。流通系カード会社C社は消費者に自社カードを配り、それをD社のデパートで買い物で使えば、商品購入代金の1%をキャッシュバックするなどのいろいろな特典を設ける。また、どういう属性の消費者がどのような商品を買ったか、などとういこともカード使用時に調べ、その調べた結果を、デパート側はマーケティング活動等に用いる。その見返りとして、カード会社はデパート会社から一定の収入を得る。

 デパート会社がカード会社の乗換えをするのは大変である。というのも、乗換えをすれば、以前のカード会社発行のカードを持っている客を失ってしまうからである。乗換えをやられたカード会社は、報復として、D社買物時の1%キャッシュバックをやめたり、マーケティング活動にも協力しなくなるかもしれない。そんなことが起こったら、デパート会社は大変である。デパート会社の売上・利益は低下するだろう。

 スイッチングコストは、他の分野でも見られる。代表的なそれの一つに、病院用具製造業があると思う。病院で使う点滴ボトルを吊る器具を患者につけるやり方は、その器具の製造元でまちまちの傾向であり、その器具を新たに、既存器具製造元以外から購入しようとすると、病院の従業員に、その器具の患者への取り付け方を新しく教えなければならない。つまり病院側に、従業員の再教育コストが発生する。これは何を意味するかというと、既存の器具よりも多少良い性能を持つ器具を他社が作ったとしても、それは既存器具製造会社の収益には、何の影響も与えない、ということである。なぜなら病院側にしてみれば、多少性能が良い器具を購入したところで、従業員再教育コストがかってしまい、実質的メリットがないからである。

 自分の知るかぎり、スイッチングコストが最もはっきり目に見える事業分野は、ソフトウェア産業である。たとえば、あなたがデータベース技術者か何かでオラクルを愛用しているとする。そしたらあなたはもう、オラクル社以外のデータベースソフトウェアはあまり買おうとしないはずである。なぜなら、オラクル社以外が製造元のソフトウェアは、オラクル社製造のそれと互換性がなく、その新しいソフトウェアに習熟するためには、多大な時間的コスト、精神的コストを払わなければならないからである。同じことは、会社レベルでも言える。オラクルに慣れ親しんでいる従業員をたくさん持つ会社が、オラクル以外のソフトウェアを導入しようとしたら、莫大な従業員再教育コストがかかるはずである。これと全く同じことが、マイクロソフト社製の製品にも言える。ソフトウェアのように、買手が扱い方に習熟するのに膨大なコストがかかる製品を扱っている会社は、独占的に利益を上げやすい。というのも、他社が既存製品よりも多少性能が良いのを作ったとしても、製品買手側にかなりのスイッチングコストがかかるため、製品買手側は、それをなかなか購入しようとしないからである。

 買手が継続的に購入しなければならない製品・サービスを扱っており、かつ、買手が製品・サービスの乗換えをしようとすると膨大なスイッチングコストがかかる業態、このような業態は投資対象として魅力的である。カードビジネスはこれをだいたい満たしていると自分は思う(カードビジネスの種類にもよるが)。ソフトウェア産業は、たしかに良いとは思うが、ソフトウェアというのは、買手が継続的に購入しなければならない製品・サービスではないので、投資対象としてはどうかと自分は思う。ただ、代表的なソフトウェア企業(マイクロソフト、オラクル等)が、将来にわたり、独占的に利益を上げ続ける会社である可能性は相当に高いだろうとは思う。

 



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