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企業評価に慣れる

2003/2/23

以下は、日記からの抜粋です。


ボロ儲け状態の会社

 私は思うんだが、なんで多くの人は、財務体質(ほぼ無借金かどうか)とROEを投資判断時に重視しなのかわからない。ほぼ無借金で、ROEが15%以上もあるといのは、ボロ儲け状態なわけです。自社に何かしらの強みがなかったら、借入金しないで、単位資本あたり15%も利益を上げるなどありえない話です。

 たとえば、ある人が何かの事業をするとして、その事業が非常に儲かるものだとしましょう。そしたら、それを見た人たちは、たちまちこの人の真似をしだし、この事業は儲からないものになるはずです(参入障壁が全くなかったら)。たとえば、中古車オークション業界はいま、160もの業者がひしめいており、業者過剰の状態になっています。参入障壁が低いとこのようなことが起こり、業界の収益性は低下します。事実、中古車オークション業は中古車買取業よりも低収益です。

 では、中古車買取業は参入障壁が高いか?非常に高いです。たとえば、ガリパーと同じ土俵で事業を行おうと思ったら、年間数十億円規模の広告費を投入する必要があります。といのも、中古車買取業は、広告を通して、顧客に自社のブランドイメージを植えつけるのが大事だからです(要するに、コカ・コーラと一緒)。数十億円規模の広告費を拠出できる大資本を持った会社でないと、ガリパーに勝つのは無理でしょう。未来を予言するわけではありませんが、中古車買取業界は、ガリパーを含めた中古車買取専業の数社とメーカー系の何社かの寡占業界になるでしょう。巨大な広告費を捻出できる規模の大きい業者の寡占業界になるでしょう。中古車買取業界は。

 でー話変わりますが、たとえば、あなたが年間純利益10億円の会社を経営しているとして、新規事業を始めたいとする。そのときあなたは、中古車買取業に参入しようと思いますか?思わないでしょう。というのも、参入しようと思ったら、最低年間10億円規模の広告費が必要です(既存業者の広告の累積効果を考えたら、10億円規模の広告費ではダメかもしれません)。広告費はただ単に使うだけのもので、広告投資に失敗したら自社には何も残りません。新規参入者にとって、広告投資は非常にリスクが高いのです。中古車買取業を新規に始めたいと思うパカな人はいないでしょう。

 巨大な広告費を通して、顧客にブランドイメージを植えつけることが事業の要になっている事業(ソーダ水、中古車買取、インスタントコーヒー等)は、参入障壁が非常に高いのです。このような業界である程度の地位を築いてしまえば、他社との競争にもそれほどは煩わされることなく、かなり独占的に利益を上げることができるでしょう。事実、コカ・コーラやガリバーは、かなりの高収益会社です。

 話がズレたが、要は、ガリパーが高収益なのには、上で私が述べたようなきちんとした理由があるんであって、これと同様、中古車オークション業界が高収益と言えないのにも、やはりきちんとした理由があります(あるはず)。ほぼ無借金でROEが15%もある会社なんてのは、ボロ儲け状態にあるわけで、それがそうであるのには、絶対理由があります。

 まあ、ある会社が何かの強みを持っているかどうかなんて簡単にわかります。その会社の財務体質と資本あたりの利益を見ればいいです(普通は)。まあ、我々がやるべきことは、まず初めに数字を見て強みがあることを確認し、その次にその強みは何か、それはどれくらい持続しそうか、を考えることでしょう。良い会社を見つけるのは、別に、難しいことではありません。問題は、大幅値引きで売られているそれが少ないこと、および、資金があると、良い会社が大幅値引きで売られるまで待てずに、他の株に手を出してしまうことでしょう。


ケーススタディ

 企業評価に慣れるために、たとえば、このようなことをやってみてはどうでしょうか。会社四季報から、財務体質が極めて強固でROEが15%前後以上ある会社を選び、それら会社がどうしてそうなのか調べる。前にも言いましたが、ほとんど借入金なしで、ROE15%以上も上げるなど、企業間競争上の何かの強みを持っていないと、達成不可能です(と私は信じる)。

 ある企業の経済状態の良好さを測る最も適切な指標は、単位資本あたりの利益額です(と私は定義する)。要は、

 

100万円の資本で、年間何万円儲けたか

 

が、企業の経済状態の良好さを測る最も適切な指標です。もちろん、資本を元本に多額の負債をして大きな利益を上げている場合は、負債分を割り引いて考える必要があります。

 でー話変わりますが、たとえばA社は昨年、100万円の資本で5万円儲け、今年は100万円の資本で6万円儲けました。利益成長率は、6万円÷5万円=1.2だから20%です。対してB社は、昨年100万円の資本で10万円儲け、今年は100万円の資本で9万円儲けました。利益成長率は、9万円÷10万円=0.9だから-10%です。

 他の全ての条件が同じなら、あなたはA社とB社、どちらに投資しますか?私はB社に投資します。B社のほうが経済状態が良好だし、競争上の強みも恐らく持っているからです。A社の利益は確かに伸びていますが、100万円の資本あたり6万円しか儲けていません。対して、B社は9万円です。B社のほうが1.5倍も儲けています。B社のほうが優れていることは明白です。

 利益の伸びは、ある会社が優れているかどうかを判断する指標には全くなりません。経済状態の良好さを測る最も適切な指標は、単位資本あたりの利益額です。要は、ROEです(多額の負債がある場合は、それを割り引いて考える)。100万円の資本で年間何万円儲けたかです。

 話が脱線したが、今までの話で、負債に頼らず高いROEを上げているかどうか、100万円の資本で年間何万円儲けたかが、企業の経済状態の良好さを測る最も適切な指標である、ということは皆さん理解されたと思います。でー、そのような良好な経済状態というのは、普通は起こりません。というのも、良好な経済状態の事業にはどの社も参入しようとするからです。良好な経済状態を維持している会社は、他社の参入を退ける何かしらの強みを持っているはずです(普通は)。

 冒頭でも言いましたが、会社四季報から、負債に頼らず高いROEを上げている会社を取り上げ、各社の強みがなんであるかを調べる、というのは、企業評価に慣れるのにはもってこいかもしれません。下に、良好な経済状態を作り出す要因をいくつか列挙します。これらを参考に、企業評価の練習をされてみてはどうでしょうか。

要因 業態
・多額の広告費を通して、顧客にブランドイメージを植えつける。 ソーダ水(例:コカ・コーラ)、中古車買取(例:ガリパー)  等
・スイッチングコスト(顧客の乗換えコスト) ソフトウェア(例:マイクロソフト、オラクル)   等
・品揃え豊富な巨大店舗 家具(例:大塚家具)  等
・薄利多売 小売(例:ウォルマート)、家電量販(例:ヤマダ電機)   等
・ノウハウの蓄積 リサイクルショップ(例:ハードオフ)   等
・店舗の立地 コンビニ(例:セブン・イレブン)、駐車場ビジネス(例:パーク24)   等

 



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