産業の統合化と分断化(1)

いつ新産業が生まれ(あるいは産業の分断化が進み)、そして、いつ複数の産業が統合化されるか?分断化、統合化の兆候をどのように見分けるか?たとえば、途上国のコングロマリットが複数事業に分離する時期を予測することはできるか?あるいは、テレビ製造業+番組制作業の複合事業が分業化する時期を予測することはできたか?

垂直統合が進みやすい事業と逆に水平分業が進みやすい事業とを見分ける術はないか?たとえば、服事業と宝石事業で垂直統合進むのに、IT産業や半導体事業で水平分業が進むのはなぜか?見分けられると、本書の冒頭で述べた”産業変遷の潮流”が理解でき、事業調査時も役立つと思います。

事業環境へ影響を及ぼす要因は多岐におよび、それらを分析して有用な概念を発見するのは困難です。このような場合は、 過去の事例から一定のパターンを見つけ、現在分析を試みる事業がどのパターンに近いかを検討するのが良いです。

まず、社会構造が極めて単純な時代まで戻り、産業進化の法則性を述べたいと思います。そこで、日本の戦国時代まで遡り、そこから何か知見が得られないか、考察したいと思います。

戦国時代での産業の発達

戦国時代以前は、大名は農業と軍事を一元管理するのが普通でした(税金徴収の必要上、商業も管理していたです)。いわゆる、兵士は平時は農業を営み、戦時は弓槍で戦いました。”兵士”というリソースを最大限に活用でき、国のOutputを高めることができました。

しかし、農工業が発達し、多くの貨幣収入が生ずると、状況が変わりました。貨幣収入で傭兵を雇い常備軍を設置する一方、農民は農業専門としたわけです。そのほうが常に戦争できるので、国力を高めることができた。

ポイントは、農業・軍事・商業の渾然一体の状況から、農工業の発達により軍事が明確に切り離されたことです。このように複合事業内のある事業が十分発達すると、リソース(人、物等)の特定用途への特化が起こり、産業の分断化が進みます。

産業発展のプロセスは現代も同じ

で、上記の産業発展のプロセスは現代にも通用します。

たとえば、各種研究によると(文献の所在は後日掲載)、途上国のほうがコングロマリットの業績が良いそうです。要は、途上国では未発達な産業が多いので、複数事業を一元管理したほうがリソースを有効活用できる。しかし、先進国では産業が十分に発達しているため、業種専門型のほうが有利に事業を進めやすい。

たとえば、中国ではドラッグストア事業は黎明期です。すなわち、デパートとか他の業種がドラッグの販売もコングロマリット化して行っているわけです。このように途上国では未発達な産業が多く、コングロマリットな企業が活躍する土壌があります。

また、私は以前、電子商取引の会社の事業分析をメルマガで行ったことがあります。なんと、この会社は過去数年で数十の会社を買収していました。これは無理な多角化でしょうか?経営者の判断が間違っているのでしょうか?私はそうは思いません。

要は、電子商取引は生まれたばかりの事業で未発達です。なので、電子商取引の関連事業もコングロマリット化ほうがリソースを有効活用でき、会社の事業を強くできるわけです。この会社が数十の会社を買収したのは必然で合理的なことです。

(続く)

2012年2月27日

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